結局犯人の生活圏はどこなのか?

さて前回 「うみかぜ公園」 に犯人が訪れ、この公園が米軍横須賀基地に程近いことから、犯人の生活圏は実は横須賀周辺だったかもしれないということをちらっと書いた。その一方前々回では、犯人の生活圏は事件現場である祖師谷公園から4キロ以内の可能性が高いのではないかという矛盾したことを書いている。果たして犯人の本当の生活圏は、横須賀基地周辺なのか、それとも祖師谷公園周辺なのか考えてみたい。

私は三浦半島に住んでいるので、横須賀基地周辺の地理はおおよそ検討がつく。その一方で、事件現場周辺には疎く、なかなか細かいことは言われてもイメージできない。ただし以前も書いたが、私は事件前から祖師谷公園むかいにある駒沢大学の野球部グランドには、何度か試合を見に来たことがあったので現場周辺をイメージすることはこの事件に興味を持つ前からできていた。ここに訪れた最初の数回は、車で駒大グランドまで。そして以後は、宮沢家から最も近い京王線の千歳烏山駅や小田急の成城学園前駅からも歩いたことがあるので、祖師谷公園が駅から遠くわかりずらい場所にあることも理解できる。そんな私がイメージできる範囲で、現場までの移動手段を考えてみたい。

(犯人が横須賀民だった場合)

仮に犯人が、横須賀基地にいる人間だと仮定してみよう。はっきりいって、よほどの目的がない限り祖師谷公園にゆこうとは思わないはずなのだ。東京が神奈川の隣県といっても、横須賀から現場までは2時間ぐらいはかかる道のりであり、ちょっとスケボーを滑りにゆこうという気にはならないだろう。知り合いが近所にいるとか、たまたまロカールスケーターがスケボーができるように整備しているという噂を聞きつけ、1度や2度行ってみたというのならばわからなくはない。しかし逆に祖師谷公園周辺に住む犯人が、「うみかぜ公園」を訪れるというのならばまだありえる。というのは、施設が祖師谷公園よりも充実しており、日本で最初にAJSA(日本スケートボード協会)監修の元作られた、ボーダーにとって記念すべき公園だからだ。そのため、大きな大会なども頻繁に行われていた。そこから考えるに、犯人が横須賀側に住んでいて祖師谷公園に現れたというよりは、祖師谷公園周辺に住んでいた人間が うみかぜ公園 を訪れたと考える方が自然な流れになる。

(電車で祖師谷公園を目指す)

仮に横須賀基地に住む犯人が、祖師谷公園を目指す場合どのようなルートがあるのだろうか? 京急の横須賀中央駅・汐入駅を使うか、JRの横須賀駅を使ういずれかの方法となる。JRならば横須賀線で大船駅を経由し東海道線で藤沢に。そして小田急線で成城学園前に向かうというルートで、1時間30分ぐらいかかる(駅から更に徒歩25分)。あるいは、横須賀~JR線で渋谷までゆき、そこから京王線に乗り換えて明大前を経由して千歳烏山駅。このルートだと更にグルッと遠回りする感覚で1時間40分ほど。最寄り駅から、祖師谷公園前までバスを使う方法もあり、そうすると10分ぐらいあれば駅から現場まで着くことになる。

京急の場合でも、横浜で乗り換えて新宿まで行って小田急で成城学園前に。あるいは横浜から東急で武蔵小杉まで行ってJRで登戸に、そこで小田急に乗り換えて成城学園前に。千歳烏山だと横浜で乗り換えて新宿や渋谷にゆき、京王線に乗りかえることになる。いずれにしても京急を使っても1時間20分~30分ぐらいかかり、そこから祖師谷公園までゆくのは、2時間前後かかる行程なのだ。まして片道1000円前後はかかるわけだし、お金に困っている人間や学生などが頻繁に通っていたとは考え難い。まして2000年当時でも、駅などには防犯カメラが普及していた時代。そういう証拠を、残したくないと考えても不思議ではない。

(車やバイクの場合)

横浜横須賀道路を使い保土ヶ谷バイパスを経由して、第三京浜に入るルートが最有力。終点の玉川料金所をすぎると、すぐに環八に出る。恐らく混んでなければ40分ぐらいあれば、ここまで着きそうな行程。しかし問題は、環八に出てからで年中混んでいるから、ここからが中々進まない。渋滞の中ゆっくり進んでゆくと成城警察署の前を通りつつ、千歳台という交差点を左折。の交差点を過ぎてしばらくすると、目的の祖師谷公園が左手に見えて来るが狭い割に交通量が多い道路。結局玉川料金所を出ても渋滞にハマり、そこから30分ぐらいはかかると考えられる。それでも1時間半ぐらいで祖師谷公園に着くので、足がある人はバイクや車を使う方が早い。特にバイクの場合は、渋滞でも多少車の間をすり抜けて行ける分、ストレスは少なくなるはず。ただし、この場合犯人がもっとも心理的に避けたい、成城警察署の前を通ることになる。もちろん土地勘があれば、この前を通らずに祖師谷公園に辿り着けそうな道もあるのだが、そうじゃなければ上記に書いたような方法を使うのが土地勘のない人間には一番間違いがない。しかし高速を使えば、当時からNシステム(自動ナンバー読み取り装置)や防犯カメラが出入り口には設定されているので、ここでも移動の証拠を残すことになり避けたいと考えても不思議ではないだろう。仮にこれらを避けながら一般道で横須賀から祖師谷公園までゆくには、相当な時間がかかる。カーナビがあれば車ならば道に迷わないが、よほど土地勘がなければバイク乗りなら迷うはず。平気で3時間ぐらいはかかりそうなので、頻繁に横須賀の住民がここに訪れていたとは考え難い。

(結論)

横須賀民の私から言わせてもらうと、祖師谷公園周辺は全く想像のできない東京になる。公共機関を使えば2時間ぐらいはかかるし、車やバイクを使えば1時間半ぐらいで着くかもしれないが、高速・環八・現場周辺の狭く入り組んだ場所であり、結構心理的にも負担を感じるはず。少なくても何か大きな目的がない限り、頻繁にここにスケボーを滑りにゆこうとか、何かを悪さをするためピンポイントでこの地域を狙うとは考えられない。いずれにしても防犯カメラやNシステムなどに証拠が残ることも考えると、電車も車やバイクなどの移動手段を使ったのも疑わしい。

そのため犯人が横須賀基地周辺か事件現場周辺の人間かと問われれば、私は祖師谷公園周辺の人間の方を推す。ただし両方の中間ぐらいのところに住んでいれば、45分~1時間ぐらいの移動距離になるので両方を頻繁に訪れることも可能。しかしそれも祖師谷公園のわかりずらい場所やスケボー施設の充実具合を考えれば、比較的現場近くに住んでいたか、何かしらの理由で現場周辺を知っていた人間だったのではないのだろうか。ということで私は犯人が横須賀基地の人間、あるいはその周辺に住んでいた人物だとは考えない

(ヒップバックは犯人の持ち物)

さて、話は全然変わります。犯人が残した遺留品の中でも、最も多くの情報が詰まっていたのが ヒップバック です。そのためヒップバックは、犯人の持ち物ではなく偽装工作だったのではないかともよく言われます。

そもそもこのヒップバックは韓国製で、1995年~1999年に関東のディスカウント店で2850個で販売されたものだという。遺留品の中では製造年が古い類のものであり、犯人はそれだけ長い期間に渡りこれを使用してきた可能性があるのだ。もちろん事件前に売れ残っていたものを買った可能性も否定できないが、発見されたときにはかなり使い古されたものだったという。それならば、他人のものを盗んだ(貰い受けた)のではないかという疑いも出てくる。

しかし今回気がついたのは、日本には殆ど出回っていないアメリカ製の硬水用洗剤で、付着した染料を洗い流そうとした形跡が残っていたということ。そしてこの染料は、宮沢家の車庫の中にあった棚の底、そして現場で脱ぎ捨てられていたラグランシャツからも、同種の染料が検出されていたため犯人が残したものだろうとされている。もし本当に同種の染料の汚れを洗い流そうとしていたとするならば、その当時からバックは犯人の持ち物だった可能性が高まるのだ。これと同じ染料を取り扱っていた人間などはそうそうおらず、同じ職場の人間からでも盗んだのでなければ、このヒップバックが犯人のものであった可能性は極めて高い。そんな顔見知りから盗んだものを、身につけては普段から歩きまわらないだろう。ましてヒップバック自体は2850円前後で販売されていたもので、けして高価でも貴重なものでもなかったのだから、貰い受けていた可能性も低い。

また以前にも書いたとおりこのヒップバックからは、エドワード空軍基地近くの砂漠の砂やロッキー山脈のものとみられる花崗岩に日本には存在しないモナザイトという放射性物質が含まれていたという。そこからも犯人は、カリフォルニア周辺を渡航(もしくは住んでおり)、訪米中(アメリカで生活していた可能性)ときに染料の汚れを洗い流そうとしたのではないかということ。それならば日本では殆ど出回っていない、アメリカ製の硬水用洗剤を使っていた理由も説明がつくのだ。そしてこの当時から、ラグランシャツに付着していたのと同じ染料を、この犯人は持ち歩いていたということになる。

したがってこのヒップバックは犯人の持ち物であり、カリフォルニアなどに大きな関わりを持っている人物。何よりヒップバックに残された様々な遺留物は、みな犯人に関わるものである可能性が高い。しかしここに書いたことは、よく考えてみれば極当たり前のこと。これだけ犯人が長く使っていたものを置いて行ったのは、捜査を撹乱するためではなかったのではないかと。あえて自分に辿りつくかもしれない情報を挑発的に残し、捕まえられるものなら捕まえてみろという自己顕示欲の現れ。もしくは急におばあちゃんが入ってくるということで、置いてゆくしかなかったのかのいずれかであろう。しかし犯人がみきおさんの服を吟味して深夜に逃走した可能性が高く、そこから考えるとわざと置いていったと考える方が自然なのだ。

(整理)

渡航中から日本では珍しい洗剤で、限られた人しか扱わない染料の汚れを洗い流そうとした形跡がある。そこからもヒップバックは、以前から犯人の持ち物だった可能性が極めて高いということ。そして事件前だけでなく渡航時から現場に残された染料と同種のものを扱っていた可能性が高く、同種の染料と以前から関わっていて、肌身離さず持ち歩いていた人物だったのではないのだろうか。そこまでこの色にこだわり、この蛍光染料を扱う仕事とは一体何だったのだろうか?

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No title

お久しぶりです。

犯人は染料を使う仕事に従事していて、ヒップバッグを仕事中に装着し、
その時にバッグに染料が付着したとモ、ナザイトさんはそうお考えのようですね。

しかし、真っ当な会社であれば、作業者が私用で使うバッグは作業中の装着を絶対に認めません。
反対に業務用のバッグを作業者が私用で持ち出すことは決して許可しません。

染料そのものは、取り扱いに最新の注意が必要な薬品なのですから。
仕事時とプライベート時は、服装や持ち物は完全に隔絶されるのです。

警察も犯人が染料を扱う仕事に従事していると考え捜査していたようですが、
完全に的外れだと私は考えています。

 犯人はあくまでも趣味の範囲の中で染料を使用したーー。

私はそんなふうに思っています。


No title

確かに会社の制服・作業着の時に、紛失などは大変に問題になると私自身も書きました。真っ当な会社の場合、そのようなものの持ち出しは15年前でも結構厳しかったかと思います。

しかし染料を扱うような仕事の場合、非常に小規模な町工場や個人事業主などの可能性も無きにしもあらかずかと。そうなるとズボンのときと言っていることことと矛盾してしまうのですが。

またある程度の会社では、個人の動向やモノの持ち出しなどにそれほど管理が行き届いていない会社も結構あるようにも思います。特に劇物・毒物ではない染料に関しては、意外に管理が杜撰だった可能性です。

個人的には、現場近にあった落書き・ペイントなどの類から、事件と染料との繋がりを追えないか考えています。

No title

あとは、単にスケボーのボードを自分でペイントしたりして、デザインしていた可能性でしょうねぇ。それこそご指摘のように個人の趣味の範囲、あるいはこういったものを仕事にしていた人間かもしれません。

No title

興味深く拝見させていただいてます。

この事件を担当されてる刑事さんと話す機会があり、やはりボーダーを疑っているようでした。
うみかぜ公園のことも認識されてました。

自分もボーダーだと思います。この事件は単純で、スケボーを注意、制限された犯人が、カッとして起こした事件だと思うのです。しかし、そんな単純かつピンポイントの捜査でも、犯人に行き着かなかった。なので、土地がらみとか色々な陰謀論が出てきたのだと思います。しかし、そういった論が出る、宮澤さんの生活とは一体・・・。

スケートボーダーが犯人の場合、あの3人の写真は何だったのかという疑問が。スケボーができなくなったという理由だけで、一家殺人。複数の人間が、その実行犯の片棒は担がないと思いますね。
ボーダーが犯人なら、単独犯でしょうね。

No title

私は、個人のイカれた野郎による犯行説と少数にによる犯行説の二方向からこの事件を追っています。

最近は現場に残されている遺留品などから、ボーダーによる犯行に焦点をあてて記事を書いています。

また目撃情報などから推察して行けると、複数犯説の色彩が強くなってきます。

ただこの2つの説は全く相容れないものではなく、それぞれがリンクする部分もあり、そこから本当の事件の全容が見られないかとも考えています。

3つ似顔絵は、彼らがそれぞれ繋がっているとは限りません。

成城橋付近で目撃された男
包丁を購入していた男
飛び出しマン

の似顔絵である可能性が高く、このウチの誰か一人しか事件に関わっていないかもしれませんし、すべてが事件に関与しているかもしれません。それをどう考えるべきかは、これからの検証の課題ではないかと思います。

しかし似顔絵右上の男が極めて現場に侵入し事件を起こした可能性が高いと考えていますし、また犯人がスケボーやカルフォルニアと深いかかわりを持っている人物だとも考えいます。ですから単髪の男が、みきおさんと揉めていたという情報が掴めば、ここに接点が生まれてきます。


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世田谷一家殺害事件 の犯人像について、モナザイト の主観で事件を考察します。

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