インゴット

世田谷一家を取り上げた本の中でも、悪名高い 齊藤寅著の 『世田谷一家殺人事件~侵入者たちの告白』(草思社) というものがある。そのあまりに事実関係とかけ離れた内容から、警察自らその記事を否定したという曰くつきのものだった。

私は読んだわけではないので詳しいことは言えないが、日本にやって来たアジア系留学生の一部が形成した「クリミナル・グループ」と呼ばれる犯罪集団によって、宮沢家にあるとされたインゴット(金塊)を盗むために家に入り込んだのではないかという説。しかし宮沢家に金塊があったのかは疑わしいものの、何かしらの犯罪集団(クリミナルグループとは限らない)が、金銭目的のために宮沢家に侵入したのではないかというのは、私の犯人像と近いものがあるので、あながち馬鹿にはできない内容ではある。

(何故この日だったのか?)

この犯人は、とにかく家族全員が揃っている時でないとダメだったのではなかったのかということ。前にも書いたように、この犯人の目的が明らかに最初から殺害、それも家族全員の殺害が前提にあったのではないかと、これまでも検証してきて何度も書いてきた。

みきおさんが目的ならば、みきおさん一人の時を襲った方が確実だったろうし、それ以外の家族が目的ならば、1番脅威となる みきおさんのいない時を狙えば良かったわけで、それだけの隙は幾らでもあったのではないのか。

さらに盗みだけを目的としているのならば、事件前日の29日には家族全員で渋谷の映画館に出かけていたりと、入る隙は幾らでもあったわけだ。それをあえてせずに一家が揃っている時、それも壁1枚で隣り合わせている隣家の家族まで揃っている(杏さんの旦那はイギリスから一時的に帰国)という年末に、非常にリスクのあるタイミングで行っているということ。

ここから考えられるのは、明らかに 宮沢さん一家が全員揃っている ことが条件だったのか? どうしても12月30日 という年末に何か大きな意味を持っていたのではないかということになる。

(何かを探していた)

犯人が偽装工作ではなく、本当に何かの暗証番号を探していたとなると、前回述べたようにパソコンの中身を見るためのキーワードだったのではないかということ。あるいはもう一つ考えられるのは、宮沢家には何か貴重品を入れる 金庫 があると犯人は考えていたのかもしれない。いずれにしても、その番号を家族から訊き出さないといけない。だからこそ、家族のいる時間帯にあえて侵入したのではないのだろうか? 

みきおさんを あっさり殺害しているところをみると、どうも何かを聞き出そうとしたにしても、それは 泰子さんから聞き出そうとしたのではないかと思われるフシが遺体の状況からは考えられる。仮にそう考えると犯人の狙いは みきおさんのパソコンの中身だったのかは怪しく(泰子さんが旦那のパスワード知っていたかは微妙であり)、やはり 銀行の暗証番号 もしくは、家の中にあると犯人が思い込んだ 金庫の暗証番号 だったのではないかという気もしなくはない。しかし現場には、宮沢家のカードや通帳は置いていかれ、更に現金を引き出そうとした形跡は、その後も一切なかったとされている。そのため警察はアテがハズレ、犯人の目的が皆目検討がつかなくなってしまったのだ。

(金庫など存在しなかったのだろう)

犯人が何故、宮沢家に現金があると考えたかはわからない。しかし東京都から土地の移転代金が振り込まれたという情報は入手していた可能性はある。人の口座にどのぐらいお金があるのかは、調べる人間が調べれば簡単に手に入れることができるのだという。そういう金の臭いを嗅ぎ分ける情報網は、犯罪集団の中ではあたり前のように共有されているのだという(そういう情報を売る輩もいるのだろう)。

それはともかく、宮沢家の中には金庫はなかったと考えられる。一階の本棚のところには、何かの支払いのためなのか? 年明けに予定されていた家族旅行のための代金だったのかわからないが、6万1千円だかの額が袋に入っていたという。また冷蔵庫の中だか外だかにも、現金が入っていた袋でもあったのか? それも犯人は手をつけなかったのだとか。どうも宮沢家の帳簿と照らし合わせると、10数万程度がなくなっていたというぐらい。特に泰子さんやみきおさんの財布からは、紙幣だけを抜き取り捨てた形跡がある。泰子さんの財布は、浴槽の中に。みきおさんの財布は、一階階段下の棚の上にあったものとされている。そして小銭千何百円分は、廊下に撒き散らされていたという。ここからも、犯人が音を立てずに静かになんて意識はサラサラなかったことが伺われる。いずれにしても宮沢家の現金の置き方を観る限り、何処かに金庫を持っていたというようには思えない。また犯人がトイレで用をたすときでさえ、泰子さんのカバンを探っていたというのだから、極めて犯人の目的が現金にあった可能性が高かったのではないかと私は考えている

(12月30日だった意味?)

2000年当時のATMは、ほとんど年末年始の引き出しはできなかった。今よりも引き出しの限度額は緩かったものの、年末に引き出せるATMは極限られた銀行の限られた店舗にしかなかったことが調べてわかった。しかし暗証番号さえわかれば、引き出すことは年末でも不可能ではなかったのである。

確かに 黒ムツさんのように21世紀までに大きな事件を起こしてみたかった という類の犯人だった可能性も否定できない。実際事件現場は壮絶を極めており、単なる物取りの類とは思えない犯行だったからだ。特に幼い子ども2人を手にかけており、まして証言能力が低かった幼い礼君を最初に殺害している可能性が高かったことからも、単なる物取りだけが目的とは思えない。

しかしながら私は、この12月30日という決行日には犯人側の事情が大きかったのではないかと考えている。ここで考えられるのは、犯人自体の勤務事情である。犯人は普段何かしらの仕事に従事していて、その仕事がまとまった休みになる 年末年始 に事件を決行したのではないかということ、他には 学生の冬休み という可能性も否定できない。

あるいは、お金の支払いなどの期日が迫っていたなどの理由。この事件が何者からの依頼殺人だった場合は、年内一杯までに行うことが条件にあったのではないか? もしくは以前も書いたとおり 宮沢家からお金を引き出させる期日が年内一杯で、それに失敗して強行に及んだなど、何かしらの犯人側の事情がそこにあった のではないかと私はみている。

(犯行の目的)

犯人の目的は、家族全員の殺害 にあったのか? 家族から口座かパソコンの暗証番号などの情報を聞き出す理由から、揃っている時を狙っての侵入だったのかもしれない。金銭目的 だったのか全員を殺害しないといけない理由が何かしらあったのか? その両方にだったのか 。もし幼い子どもを殺さなければいけない理由があったとするならば、それこそ人を殺してみたいという衝動にかられたのか? 事件前に何かしらの形で顔を目撃されていたのかもしれない。

いずれにしてもこの事件が複雑に感じるのは、犯人の目的や行動の二面性 にある。本当の目的は一つで、あとはそう見せかけるための偽装工作なのか? それとも2つともが、当初からの目的だったのか? あるいは、現場に侵入した人間が発表とは違い2人以上いたのか? 

もし目的が1つだった場合は、単独犯だった可能性が高い。逆に目的が2つ以上あった場合は、犯人は複数犯だった可能性が高いのではないのだろうか。 しかしそれを発表されている情報のみで読み取ることは、極めて難しいと言わざるえない。しかしもし発表されていない情報が明らかになったところで、警察ですら未だに事件の動機さえ掴めていないことを考えると、それを明確に示す根拠は存在しないのではないのだろうか。

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世田谷一家殺害事件 の犯人像について、モナザイト の主観で事件を考察します。

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