一橋文哉氏 「世田谷一家殺人事件」 の感想

事件から15年が経過するのを前に、この事件に対し様々なセンセーショナルな記事を書いてきた 一橋文哉氏が「世田谷一家殺人事件」という著書を発売した。これまで一橋氏は週刊誌で驚きの記事を連発してきたわけだが、この世田谷一家殺害事件を一冊の形にするのは今回が初めてというのも意外だった。そのため今回は、この著書を読んで初めてわかったこと、あるいは矛盾点など含めて、いろいろ考えてみたい。

(今回の収穫)

1、過去の記事がすべて明らかになった

一橋氏のこれまで記事は、ネットで調べればほぼ完全な形で残っている。しかしそれは記事の部分的なもので、実はこれまで、この事件の実行犯としている李(仮名)との接触場面は、ネット上で確認することができなかった。そういった過去の一橋氏の記事が、どんなものかすべて確認できたことは大きかった。また他の韓国人説と混同する部分もあったので、なおさらだといえよう。

2,様々な疑惑に対する応え

今まで、様々な俗説が出ては消えていったこの事件。しかし記事として出たものの、その後どうなったかわからないものが殆どだった。その俗説のその後について一橋氏は取材を進めており、明らかにしているものが多い。

3、知らなかった俗説も

実は、表だって記事にならなかったものの、警察関係者が犯人逮捕かと色めきたった瞬間が過去何度かあったという。そういった埋もれた情報も、掘り出されていたのは新たな驚きだった。

4、知らなかった位置関係

事件に関わるものの位置関係や状況証拠などで、どうしても事件を調べていてもわからなかったものが、著書を読んでいて明らかになった部分がある。私にとっての謎の一つが、引きぬかれた電話が一体何処にあったものなのかということ。著書によると、2階の居間にあったことが書かれている。そういった微妙にわからなかったことの多くが、何気なく記されていることは大いなる収穫だった。

5、実は、他の説と符号していた

結論からすると、この事件の黒幕と目される人物は、他の説でも名前のあがっていた人物だと思われ、一橋氏の説が他の説と最終的に符号していたことに驚いた。また前にも書いたが、一橋氏の説でも他の説でも「アンドウ」と呼ばれる男は、共通して登場して来る。

(読み終えて)

実行犯の李のその後の話が飛躍しすぎていて、本当なのかさえ検証できないレベルになっていること。また途中の事実関係の部分でも、私が訊いているものと違うと思われるものが幾つかあったのは、以前と変わらない。しかしこの何年かの間で、批判があった部分の取材を進めていたりと、昨今の状況を意識した作りにもなっている。

結論的なものはさておき、その過程を読み進めてゆくことは、この事件を深く知るものにとっても、新たな収穫が満載されていたということだけは触れておきたい。その正否に確信を持てるものは無いが、疑問点が一気に解決する部分も多く、様々な世田谷関係の書物の中でも、最も成果の大きな読み物になっていることは確か。今後は、細かく読み進めて新たな発見や疑問点について、具体的に触れてゆきたい。

(みきおさんの殺害状況)

そんななか今回は、本著に描かれていた みきおさんの殺害状況について考えてみたい。先日私は、みきおさんの殺害状況がいまいち掴めないと書いて、ここで特集したばかりだった。

一橋氏の記事によると、犯人とみきおさんは、二階で争った跡が一切なかったとし、犯人と争いになったのは、1階であったと綴っている。特に二階の階段上から、1階まで落ちていったという報道は誤りだったと否定しているのだ。みきおさんの足跡は、下から4段までだったという。一橋記事には載っていないが、階段途中に履いてあったスリッパが残っていたというのは、下から4段目までにあったのか?その4段目の根拠は、みきおさんの血が階段の一番下~4段目まで残っていたことに由来しているようだ。家族による証言で、血の滴りが下~上に伸びていたという証言は、犯人によるものでなく みきおさんの血液だったのかもしれない。

さてここからは、今まで明らかになった他の情報も加味しながら、新たに私の推理を構築してみた。

犯人とみきおさんが遭遇したのは、みきおさんが一階階段下、犯人は階段途中だったのではないのだろうか? 当初は二階から上がってきたところを不意打ちで、最初の一撃を加えたものと思っていたが、実は出くわした犯人とみきおさんの間には、何かしらの会話があった、あるいは一定の間があったのではないのだろうか? あるいは、みきおさんは不審な気配を事前に察知していた可能性もある。というのは、みきおさんの遺体のそばにはハンガーらしきものが転がっており、ひょっとするみきおさんは、このハンガーを手にして応戦しようとしたのかもしれない。いわゆる武田鉄矢主演の、「刑事物語」のイメージで(そういう世代だし)。

黒ムツさんの書き込みによると、みきおさんは両手をあげて近づいてきたという。それは犯人とやりあうというよりは、「そんなバカなことはやめろ」とか説得を試みつつも、凶器を奪い取ろうとゆっくり近づいてきたのかもしれない。階段を少しずつ上がってくる みきおさんに対し、黒ムツさんは蹴り落としたと表現しているので、2階踊り場からではなく、階段の途中から一階に落とされた可能性が考えられる。その辺は、一橋氏の記事にも階段から落ちた形跡はないとしているものの、階段の下の壁面には、人間が激突した跡が残っていたという。この話は初めて訊いたが、これが上から落とされたものなのか? 一階で乱闘中についたものなのかは現場検証の時点で明らかになっているはず。

私のあくまでも仮定だが、階段数段を蹴り飛ばされ落ちた みきおさんは、致命傷こそ受けなかったがすぐには立ち上がれない状態だったのではないか? そこを犯人がすかさず降りてきて上から攻撃したのではないのだろうか? それでも攻撃を受け止めようと応戦した形跡は残っている。そして みきおさんは、家族に危険を知らせるために階段を4段昇ったところを後ろから致命的な攻撃を加えられ、力尽きたのではないかと考える。

犯人のA型の血液が、2階踊り場付近で飛散していたという話が事実だとすれば(一橋氏の記事には記載されていない)、それは みきおさんと揉み合った時のものではなく、その後に起きた可能性が考えられる。

一橋氏の記事が全面的に信用できるかは別にして、これまでいまいち掴み切れなかった みきおさんの殺害状況が浮き彫りになってイメージできるようになってきた。

犯人は、事前に2階居間に荷物を置いて臨戦体勢に入っている。そして みきおさんよりも前に礼君を子ども部屋で絞殺していることがわかっている。犯人が事前に 泰子さんやにいなちゃんの居場所を掴んでいなくても、二人の居場所が屋根裏部屋しかないことは、犯人にとってこの時明らかになっていたのではないのだろうか。そして皮肉にも、みきおさんの危機を知らせる声が、犯人に二人の居場所を確信させてしまったのかもしれない。



一つだけ気になったのは、私も長らく勘違いしていたもので、本の題名の間違いにある。この事件の正式名は「世田谷一家殺事件」であるということ。実は、他の出版物もほぼ同様に、この部分を間違えている。そういうちょっとしたところに、この事件の著作に関わってきた多くの人の、いい加減さ、胡散臭さが拭えない印象を持ってしまうのだが・・・。ちなみに私が知る限り、最も信頼性の高い関係書物は、警察資料を元に書かれた 「真犯に告ぐ!」である。さすがにこの本は、そこは誤っていなかった。

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李仁恩

昨日買って読みましたが、何となく捜査事実などに合わせて、こじつけているような気もしますね。確かに、ここまで、宮澤家と犯人の繋がりがなければ、主犯・実行犯ということを考えるのは当然と思います。が、私は、みきおさんが事件前日まで書いていたという手帳に、不動産ブローカーや、金田秀道と会っていたということを、全く書いていないのが疑問なのです。そう考えると、流しの犯行という線もありますが、それにしては、犯人の遺留品に宮澤さんとの繋がりがありすぎるとも思えます。

No title

何かしらのトラブルに巻き込まれていた場合、そういった痕跡は残していたでしょうね。一方的に狙われた場合は、別だと思いますし。

犯人があれだけ何かを探そうとしていたのは、単なる偽装工作だったのか、未だによくわかりません。
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世田谷一家殺害事件 の犯人像について、モナザイト の主観で事件を考察します。

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